目のかかりつけ医として
一般眼科では、ドライアイや飛蚊症、眼精疲労などを診察しています。日常的に起こりやすい症状ですが、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を大きく損ねてしまい、仕事や学習にも悪影響を及ぼします。別の眼科疾患が原因に隠れている可能性もありますので早めの受診をおすすめします。
ドライアイ
目の表面に涙が均等に行きわたらなくなる眼疾患で、眼の表面が乾燥して傷付きやすい状態になっています。
ドライアイの原因
ドライアイの治療
点眼薬
ドライアイ治療では点眼薬による治療が基本になります。点眼薬は水分を補給するだけでなく、涙の分泌を促すもの、表面に水分を保ちやすくするものがあります。表面の水分が十分に保たれることで傷の修復促進にもつながります。処方には目の状態に加え、どのくらいの頻度で点眼できるかといったライフスタイルも考慮することが重要です。治療に用いる点眼薬には、粘度が高く水分を保ちやすいヒアルロン酸点眼薬、涙分泌を促進させるジクアホソルナトリウム点眼薬やレバミピド点眼薬などがあります。
涙点プラグ
余計な涙は涙点から排出されています。点眼薬では改善しないドライアイの場合、この涙点を一時的に閉じて目にとどまる涙の量を増やす涙点プラグによる治療を検討します。挿入には専用の器具を用いるため5分程度で終わり、点眼麻酔を施しますので痛みもありません。ご希望の方はお気軽にご相談ください。
ドライアイの対策
意識してまばたきの回数を増やす、室内の乾燥を避ける、エアコンの風が顔に当たらないようにするという3点が特に重要です。パソコンやスマートフォンを長時間利用する場合は特にまばたきを増やすよう心がけてください。また、オフィスでは卓上加湿器を使用するなど、加湿に努めてください。なお、頻繁に点眼できる場合には、防腐剤の入っていない人工涙液の使用をおすすめしています。
眼精疲労
眼精疲労の原因
眼鏡やコンタクトレンズが合っていないと眼精疲労を起こしやすくなります。また、パソコン・スマートフォンの長時間使用による目の酷使によって眼精疲労を発症することも増えています。目周辺の筋肉は近くにピントを合わせる時に緊張しているため、近い距離にあるものを長時間注視していると緊張が持続して疲れが蓄積していきます。特にパソコンやスマートフォンは近い距離にある画面を見続けるため、眼精疲労リスクが高まります。他にも、ストレスや不安などによって起こることもあり、全身疾患の症状として現れることもあるため注意が必要です。
眼精疲労の治療
症状を改善するために点眼薬や内服薬を用いた治療を行いますが、眼鏡やコンタクトレンズが合っていなければ新しく作り直すなど、根本的な原因に合わせた治療が重要です。パソコンを長時間使う場合には、デスクや椅子の高さや位置、モニターの角度などの生活環境、一定時間ごとに目を休めるなど生活習慣を改善することで症状緩和が見込めます。当院ではこうしたアドバイスもきめ細かく行っています。
VDT症候群(IT眼症・テクノストレス眼症)
VDT症候群の原因
パソコン・タブレット・スマートフォンなどの画面を長時間見続けることで発症します。目の酷使に加え、同じ姿勢を長時間続けることで生じる血流不良、眼精疲労によるストレスなどが原因として関わっていると考えられています。
VDT症候群の治療
眼鏡やコンタクトレンズが合っていない場合は、用途に合わせて適切な処方を行います。症状の緩和には目の乾燥を防ぐ点眼薬を用い、目や身体の緊張をゆるめる内服薬を処方することもあります。また生活環境や習慣の改善アドバイスも行って症状緩和につなげます。
飛蚊症
飛蚊症の原因
加齢などによる生理的飛蚊症、眼科疾患などによる病的飛蚊症に大きく分けられます。生理的飛蚊症は眼球内部を満たすゲル状で透明な硝子体が変化して繊維状のものができ、その影が網膜に映って起こっています。病的飛蚊症は、網膜に穴が開く網膜裂孔、網膜が剥がれてしまった網膜剥離、硝子体内部への出血などの疾患によって起こっているものです。視力の大幅な低下や失明につながる可能性があるため、できるだけ早い受診が必要です。
飛蚊症の治療
ほとんどの場合は治療の必要がありませんが、眼科疾患が原因の飛蚊症であった場合、大幅な視力低下や失明の可能性があります。早期に治療を開始することが重要です。飛蚊症の症状に気付いたら念のため1度眼科を受診してください。特に急激に見える量が増えた、視力低下を伴う、片目で見ると視野の一部が欠けている、暗い場所でないはずの閃光が見えるなどの症状がありましたら、できるだけ早い受診が必要です。なお、病的飛蚊症の場合、手術が必要になることもありますが、その場合には連携の大学病院などをご紹介し、スムーズに治療を受けていただけるようにしています。