花粉症の眼科治療
花粉症ではくしゃみや鼻水など鼻の症状が一般的に知られていますが、目の症状が強いケースもたくさんあります。鼻の症状はレーザーによる粘膜の焼灼治療で大幅に緩和できることもありますが、目の粘膜にはこうした治療ができません。花粉症による目の症状でお悩みの場合、眼科ではより目に特化した治療が受けられます。目やその周辺はとてもデリケートな部分ですし、目は「見る」という重要な機能を担っています。顔の印象も目に大きく左右されるため、眼科で適切な治療を受けることをおすすめしています。
花粉症の症状
- 目がかゆい
- 涙が出る
- 目がゴロゴロする
- 目ヤニが増えた
- 目が充血する
- 集中力がなくなる
- なかなか眠れない・すぐ覚めてしまう
- 倦怠感、だるさ
- 粘りがなく水のような鼻水が出る
- くしゃみが続く
- 喉がかゆい
など
花粉症の原因
免疫反応は本来、身体に有害な異物を排除するために働くものですが、無害である花粉にも過剰に働いてしまうことで起こるアレルギー性の疾患が花粉症です。異物とみなされた花粉を排出するためにIgE抗体がヒスタミンなどを分泌することでかゆみや鼻水、くしゃみ、充血、涙などの症状を起こします。アレルギーを起こす物質であるアレルゲンは花粉症の場合、スギ・ヒノキの他にもブタクサなどの雑草などがあります。スギやヒノキの花粉症は早春から春に症状を起こしますが、それ以外の花粉がアレルゲンになっている場合、その植物の花粉飛散時期である初夏や夏、秋に症状を起こすこともあります。
花粉症の対策と予防
アレルゲンとなる花粉にできるだけ触れないようにすることが重要です。また、飛散シーズンより前に受診して早めに治療をはじめると、そのシーズンの症状を軽減できます。
飛散シーズンの前の受診タイミング
飛散が実際に始まってから治療をスタートするよりも、飛散開始予想の2週間くらい前に治療をはじめることでシーズン中の症状を緩和できます。スギ花粉の場合は、1月中旬に受診して抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の処方を受けるようにしてください。
花粉症用対策グッズによる予防
粘膜にアレルゲンとなる花粉が触れなければ症状は起こりません。花粉はとても小さいので完全な排除は無理ですが、気を付けて対策することで触れる花粉の量を大幅に減らすことができます。眼の症状には花粉症対策ゴーグルや対策眼鏡の装着が有効です。また、目以外の部分にも花粉ができるだけ付着しないようにすることも重要です。外出時は帽子やマスクをつけ、表面がツルツルしたコートを羽織ることをおすすめします。
部屋に花粉を持ち込まない
帰宅したら玄関前で身体に付着した花粉を払い落してから玄関に入って、脱いだコートや帽子をビニール袋に入れ、洗顔と手洗いをしてください。なお、外出時に着ていたものは寝室やリビングに持ち込まないようにしてください。洗濯ものや布団の外干しをやめ、室内をこまめに掃除してください。掃除の際にはホコリを立てないよう濡れ雑巾を使うと効果的です。
花粉症の治療
眼科では下記のような花粉症治療を受けられます。
目薬
血管拡張を引き起こすヒスタミンの働きを抑える抗アレルギー剤、ヒスタミンが受容体と結合してアレルギー反応を起こすのを抑制する抗ヒスタミン剤を用いた治療を行います。症状が強い場合にはステロイド剤を効果的に使用して短期間に症状を緩和させます。
点鼻薬
ステロイドの点鼻薬を処方しています。血管拡張剤と違い、腫れを慢性化させて悪化させることがありません。
内服薬
抗アレルギー薬、漢方薬の処方を行っています。眠くなりにくいものなど、ご希望に沿った処方を行いますので、お気軽にご相談ください。
アレルギー性結膜炎
花粉症の方でよく見られる合併症です。特定のアレルゲンによって目の充血やかゆみが起こるアレルギー性疾患で、患者数が増加傾向にあり、日本人の15~20%がアレルギー性結膜炎だとされています。
症状
- 目のかゆみ
- 目がゴロゴロする
- 目ヤニが増え
- る理由なく涙が出る
- 充血
など
※重症化した春季カタルの場合は、デコボコができることもあります。
治療
抗アレルギー点眼薬による治療を行い、症状が重い場合にはステロイド点眼薬を処方します。改善が見られない場合には、免疫抑制薬による治療を行うこともあります。